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天然ガス自動車

普及に向けて

24

参考資料

参 考 資 料

5.

5.1.1 天然ガスとは

天然ガスは、メタンを主成分とする天然の可燃性ガスで、世界各地

に賦存しており、図11のように地殻にガス単独で存在するガス田ガス、

原油と共存している油田ガス等があります。地層の大規模な褶曲(背

斜)構造に貯まったこれらのガス(「在来型ガス」)がこれまで主に採

掘されてきました。

しかし、図12に示される、これまで商業生産が難しいと考えられて

いたシェールガス(注1)や、図11に示されるCBM(注2)などの「非

在来型ガス」も、技術の進歩により採掘され始めています。

一方、日本の周辺海域では大量のメタンハイドレート(注3)の存在

が確認されています。産出技術の研究が進められており、2013年日

本は世界で初めてガスの試験採取に成功しています。(図13、14)

天然ガスは日本国内でも産出されますが、国内供給量の約96%は

海外から、液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)の状態

で輸入されています。また、米国のシェールガスをLNGとして輸入す

ることも予定しています。なお、LPガス(Liquefied Petroleum Gas:

液化石油ガス)は石油に随伴して産出されるプロパンやブタンを主成

分とするガスで、天然ガスとは異なります。

都市ガスとして供給される天然ガスは、熱量や燃焼性の調

整を行い、また漏れたときに速やかに知覚できるように付臭さ

れています(表7)。

【注1】シェールガス:薄片状に剥がれやすい頁岩(シェール)の微細な割れ目に封じ込められた天然ガス。

【注2】CBM:炭層メタン、コールベッドメタン(Coalbed methane)のこと。石炭の生成・熟成に伴って発生し

たメタンを主成分とするガスが、炭層中の石炭に保持されているもの。

【注3】メタンハイドレート:メタンを中心にして周囲を水分子が囲んだ形になっている固体結晶で、燃える氷とも呼

ばれる。

※11 BSR(Bottom Simulating Reflector 海底擬似反射面):メタンハイドレートが分布する海域には、地震探査記録にBSRと

呼ばれる特殊な反射記録が現れ、メタンハイドレートの存在を推測することができる。

表7 13A都市ガスの組成例(熱量45MJ/Nm³)

成 分

組 成

メタン

エタン

プロパン

ブタン

90%

 6%

 3%

 1%

図11 ガス田・油田の模式図

図12 シェールガス

図13 日本周辺海域におけるメタンハイドレート

起源BSR分布図

※11

図14 メタンハイドレート賦存状況例

BSR面積=約122,000㎢

最新のBSR分布図(2009年)

BSR(詳細調査により海域の一部に濃集帯が存在)

約5,000㎢

BSR(濃集帯を示唆する特徴が海域の一部に認められる)

約61,000㎢

BSR(濃集帯を示唆する特徴がない)

約20,000㎢

BSR(調査データが少ない)

約36,000㎢

海洋

海底面

基盤岩

ガスガス

堆積物

メタンハイドレート

フリーガス