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天然ガス自動車

普及に向けて

2

はじめに

は じ め に

1.

我が国では1970年代の石油危機をきっかけに、家庭用・業務用・製造業部門においては過度の石油依存が

是正され、エネルギー源の多様化が進みました。しかしながら、輸送用燃料は現在でも98%をガソリン・軽油など

の石油系燃料に依存しています。2011年3月の東日本大震災においては、燃料供給網の寸断によりガソリンスタン

ドに燃料を求める長蛇の列ができました。生活のライフラインを担う運送事業者においても軽油の調達が困難とな

り、被災地における物流機能の低下が見られました。災害時対応を含め、輸送分野のエネルギー源を多様化し

極端な石油依存構造から脱却することは、わが国の大きな課題です。

輸送部門の石油依存度の低減を図るため、エネルギーセキュリティの観点から、国の基幹エネルギーである天

然ガスの利用拡大が必要とされています。天然ガスは産出地域が世界各地に分布しており、大規模埋蔵地域

が集中する石油よりも価格変動や輸出入のリスク分散が可能です。また可採年数も石油の53年に対して、天然

ガスはシェールガスなどの非在来型ガスの開発により、回収可能な埋蔵量は230年分相当と言われ、可採年数の

拡大と市場価格の安定化も見込まれます。

また、低炭素社会の実現に向け、二酸化炭素(CO₂)の削減がますます重要視されています。温室効果ガ

スが引き起こしている地球温暖化の進行により、世界各地で多雨や寒波、異常高温などの異常気象が発生して

おり、世界中で対策が求められています。天然ガス自動車はCO₂排出量をガソリン車やディーゼル車より低減でき、

地球温暖化防止に役立ちます。また、窒素酸化物(NOx)や黒煙等の粒子状物質(PM)といった大気汚染

物質の排出量が極めて少なく、大気環境改善にも貢献できます。

天然ガスの環境性や経済性、エネルギーセキュリティの優位性を背景に、我が国では天然ガス自動車は実用

性の高い石油代替エネルギー車として、既にトラック、バス、塵芥車、軽貨物車、バン等の広い用途で普及して

います。

一方、世界に目を向けると、天然ガス自動車は2,200万台近く普及しています。世界では年間200万台以上の規

模で増加しており、その実用性や環境性能から、次世代自動車のなかで主流に位置づけられています。

2011年秋、日本ガス協会では「2030年に向けた天然ガスの普及拡大」を発表し、産業部門、業務用・家庭

用部門での天然ガスシフト・高度利用の推進に加え、運輸部門でも取り組みを強化し、貨物自動車を主なターゲッ

トに50万台の天然ガス自動車を普及させる目標を掲げました。この目標においては、これまでの都市内輸送車両

への普及に加え、長距離・都市間輸送への大型トラックの普及を目指しています。長距離・都市間輸送は大型車、

都市内輸送には中・小型の天然ガストラックを導入することで、高いCO₂削減効果が図れます。

日本ガス協会は、天然ガスのメリットをより多くのお客さまにご享受いただくために、使命感を持って、天然ガス

自動車の普及拡大に取り組んで参ります。

自動車を取り巻く課題

運輸部門の石油依存大

CO₂などの温室効果ガス

による地球温暖化

NOx・PM等による大気汚染

天 然 ガ ス 自 動 車

石油代替エネルギーとして

エネルギーセキュリティに貢献

CO₂排出量削減

環境にやさしく、ポスト新長期

規制値を大幅にクリア

天 然 ガ ス 自 動 車 の

普 及 拡 大 に 向 け て

長距離都市間をつなぐ

大型天然ガストラックを軸とし

運輸部門への普及に向けた

取り組みを推進