Background Image
Previous Page  6 / 40 Next Page
Information
Show Menu
Previous Page 6 / 40 Next Page
Page Background

天然ガス自動車

普及に向けて

4

世界における次世代自動車の主流は天然ガス自動車

2.2 北中南米での普及状況

アメリカでは環境意識の高いカリフォルニア州を中心に、バス17,000台、トラック35,000台など、約25万台の天

然ガス自動車が普及しています。特筆すべきは、光化学スモッグ対策として、2010年にロサンゼルスの市バス約

2,200台すべてが天然ガス化を完了しました。また、ロサンゼルス国際空港では、空港の排出ガスの50%以上が

空港関係車両であっため、空港保有車両の天然ガス車化を推進しました。現在、保有車両の65%が代替燃料

車であり、このうち7割以上がCNG車と

なっています。今後一層の天然ガス自

動車の普及が期待されています。

2011年4月6日に連邦議会に「天

然ガス自動車普及推進法案(NAT

GAS Act of 2011)」が提出されました。

この法案は都市内および長距離輸送

のディーゼルトラックを天然ガス自動車

に代替することを主目的とし、乗用車や家庭用充填設備に対する優遇策も

盛り込まれています。

オバマ大統領は2011年3月30日に国内での燃料の増産、天然ガスやバ

イオ燃料の使用拡大および自動車の燃費改善により石油輸入量を2025年

までに3分の1削減するという計画“Blue Print For A Secure Energy

Future”で前述の天然ガス自動車普及推進法案への支持を表明しまし

た。さらに2012年1月26日には、政府車両へのNGV導入や天然ガストラッ

クの導入事業者への税制優遇、都市間を結ぶ天然ガススタンドのネットワー

クの構築に向けて民間企業と協力していく意向を示しました。2013年2月の

一般教書演説では、「エネルギー安全保障基金」を創設し、天然ガス自

動車等の研究に充てることを表明しました。

こうした動きを受けて、特に中重量の天然ガストラックの普及が進んでお

り、重量車での天然ガス車は年率20〜30%の割合で増加しています。また、

CNGだけではなくLNGでの開発も進んでおり、ユーザーがその地域の燃料

供給事情や走行距離などに応じて選択しています。塵芥車など一つの基

地を基点として一日の終わりに基地に帰ってくる車両についてはCNGが利

用されることが多く、長距離を走行する車両ではLNGが用いられることが

多いです。現在、重量車のCNGとLNGの割合は9:1程度ですが、2020

年にはLNG車が50%程度まで増えると予想されています。さらに、今後アメ

リカでは輸送分野での天然ガス利用は建設機械や特殊車両、さらには鉄

道車両や船舶に拡大していくと考えられます。

カナダでは、アメリカ同様に天然ガス料金が安く、連邦および州政府、

ガス事業者による天然ガス自動車普及策が進められています。当初は乗

用車への導入が中心でしたが、最近ではトラックやバンへの導入が進んで

きています。

アルゼンチンでは約250万台、ブラジルでは約180万台の天然ガス自動車

が普及しています。両国とも乗用車が中心となっています。

ロサンゼルスの路線バス

ロサンゼルス空港のリムジンバス

演説するオバマ大統領

ロサンゼルス市内の天然ガススタンド

クリーン・エナジー社のスタンド計画

※クリーン・エナジー社は、北米において輸送用

天然ガス燃料の最大プロバイダ

ロサンゼルスの塵芥車