天然ガス自動車

天然ガス自動車の種類

(1)圧縮天然ガス自動車(CNG自動車)

天然ガスを気体のまま、高圧(20MPa)でガス容器に貯蔵する車両で、現在使用されている天然ガス自動車のほとんどがこのタイプです。また最近、様々な種類の車両が市場に投入され、以下のような車種があります。

①天然ガス専焼車
圧縮天然ガスだけを燃料にする車両で、軽自動車や小型貨物車等のガソリンエンジンをベースにする車両やトラックやバス等の大型車向けのディーゼルエンジンをベースにする車があります。
②バイフューエル車
圧縮天然ガスとガソリンのどちらの燃料でも走行可能な車両です。日本ではメーカー製造車はなく、後改造によるものが主流ですが、ヨーロッパの小型乗用車では一般的に普及しています。ガソリンでも走行できるので、インフラ整備が進んでいない地域でも安心して使用できます。
③デュアルフューエル車
圧縮天然ガスに軽油を混合させ、着火源として使用する車両です。ディーゼルエンジンとほぼ同等の熱効率で、天然ガスがなくなっても、軽油だけで走行が可能です。
海外では、VOLVO TRUCKがこの技術を利用したディーゼル・デュアルフューエル車を2011年より欧州四ヵ国で販売開始。日本においても排ガス性能の向上に向けた技術開発が必要です。
④ハイブリッド車
天然ガスエンジンに電気モーターを組み合わせた車両です。これまでは試作車両だけでしたが、2012年から改造車の販売が始まりました。
(2)液化天然ガス自動車(LNG自動車)

天然ガスを液体状態(-162℃)で、超低温容器に貯蔵する車両です。日本では、国土交通省の次世代低公害車開発促進事業において、大型LNGトラックによる公道走行試験を平成21年度に実施しました。1,200kmの無充填走行を達成し、日本ガス協会は『LNG自動車構造基準』を策定しました。

長距離移動を必要とされる北米、豪州、中国等で開発が盛んで実用化もされています。日本ではBOG(Boil Off Gas:LNG貯槽への入熱によりLNGの一部が蒸発して発生したガスのこと。)処理の課題もあり、まだ実用化されていませんが、今後技術開発が進めば長距離移動が必要な車両での普及が期待されます。

(3)吸着天然ガス自動車(ANG自動車)

天然ガスを、ガス容器内の吸着材に吸着させ、圧力数MPaで貯蔵する車両で、試験研究の段階にあります。