日本ガス協会 安西会長 記者会見発言要旨

                                      


■都市ガス事業の現況について

昨年度まとめられた総合資源エネルギー調査会需給部会による「長期エネルギー需給見通し」にも謳われたように、環境性・供給安定性に優れた天然ガスの普及・拡大が社会から求められている。また、京都議定書が発効し、その目標達成に向けて、天然ガスはこれまでになく大きな役割を担うこととなる。

しかしながら一方で、エネルギー市場においては、エネルギー間の競合が熾烈になっており、特に、オール電化攻勢は都市ガス業界に少なからぬ影響を与えている。さらに、規制緩和の進展により、託送制度を利用したガス対ガスの競争も本格化するなど、都市ガス事業を取り巻く環境には大変厳しいものがある。

そこで、日本ガス協会としては、天然ガスの普及・拡大という社会的要請に応えるとともに、厳しい環境に打ち勝っていくために、本年度は次の3点を重点課題として取り組んでいく。

 

■分散型エネルギーの普及拡大

需給部会がまとめた報告書では、燃料電池を含む天然ガスコージェネレーションは、2010年で498万kW、2030年には1,711万kWに達すると見込まれるなど、柔軟で強靭なエネルギー供給システムの構築に向けて分散型エネルギーの普及・拡大の可能性並びに必要性が指摘されている。

さらに、昨年度開催された「エネルギーの面的利用促進研究会」では、分散型エネルギーのこれまで以上の普及には、エネルギーの面的利用の促進が有効、とされた。

そこで私どもは、その具体化に向けて、関係者と協力してエネルギー面的利用モデル事業の検討を行うこととしている。また、国や地方自治体に対して、導管と道路の一体的整備や熱導管の道路専用許可など、都市計画における分散型エネルギーシステム導入の環境整備とともに、系統連系技術要件や各種保安規制の緩和等に理解を求めていく。

 

■省エネ機器の普及拡大

 都市ガスが、お客さまから選ばれ続けるエネルギーであるためには、高度化・多様化するお客さまのニーズにきめ細かく対応できるよう、魅力ある商品を取り揃える必要がある。

他方で、京都議定書の目標達成に向けて、消費段階でのCO削減にも一層積極的に取り組んでいかなければならない。

すなわち、天然ガスを利用した高効率で、省エネルギー性の高い機器やシステムの普及・拡大が重要な課題になる。特に対策が急がれる家庭用分野においては、熱効率95%を達成した潜熱回収型給湯器(エコジョーズ)や、世界初の家庭用コージェネレーションシステムであるガスエンジン給湯器(エコウィル)、さらには最大約40%のCO削減効果が期待できる燃料電池など、多様な省エネ機器が揃った。

先ごろ、経済産業省の「高効率ガス給湯器普及促進研究会」において、潜熱回収型給湯器及びガスエンジン給湯器の普及を目指して、国・ガス事業者・ガス機器メーカー等が一体となってこれにあたる必要が確認されたところである。燃料電池も含め、機器の効率性を更に高めながら、その普及促進に最大限の努力を傾注していく所存である。

 

■天然ガスの社会的価値向上への取り組み

天然ガスの一層の普及・拡大のためには、天然ガスの価値をさらに高め、今以上に社会的に高い評価を得る必要がある。そこで、天然ガスの持つ環境性、省エネ性、経済性等について、広く社会にPRしていきたい。

今国会に提出されている「地球温暖化対策推進法改正法案」において、一定量以上の温室効果ガスを排出する者はCOなどの排出量の報告を義務付けられることになるが、これにあわせて背景情報として、排出量の増減状況に関する情報等を提供できることになっている。例えば、天然ガスコージェネレーションの導入によって、お客さまの所ではCOが排出されるが、自ら発電し、その排熱を効率的に利用することができるため、我が国全体では、従来の火力発電所による電気とボイラーによる熱で賄う場合に比べて、CO排出量が減少することになる。背景情報提供の制度は、このような事業者の削減努力が説明できるものである。

こうした我が国全体のCO排出量削減に寄与する取り組みの効果が社会的に更に適切に評価されるためには、法令等で評価の方法が例示されることが重要であると考えており、私ども都市ガス業界としては、評価手法について、広く社会に理解していただけるよう努めていく。

また、天然ガスの安全性や、炎のある暮らしの素晴らしさについても、訴えていく。日本ガス協会は、「愛・地球博」に「ガスパビリオン 炎のマジックシアター」を出展しており、この機会を捉えて、天然ガスに関連した最新技術や情報を紹介しながら、「炎の持つやさしさ、楽しさ、神秘性」そして「エネルギーの大切さ」を感じていただければ幸いである。

                                        以 上