平成17年10月24日


日本ガス協会 安西会長 記者会見発言要旨



■原油価格の上昇とLNG価格の動向およびガス料金への影響
LNG価格は、基本的には日本の輸入原油価格にリンクしているが、原油価格の急激な上昇に対しては、これを抑える価格体系が多くのLNGプロジェクトで採用されているため、LNGの価格変動は原油価格の変動より小さくなっている。最近では、既存LNGプロジェクトの契約更改や新規LNGプロジェクトの導入の機会をとらえて価格交渉を行い、引き下げに取り組んでいる。さらには、生産・液化・輸送の各段階において技術革新などを背景にコストダウンが図られていることから、原油との相対価格は低下傾向が続いている。
ただし、輸入LNG価格は原油価格にリンクしているが、多くのLNGプロジェクトでは、数ヶ月前の原油価格が反映されるため、ここ数ヶ月はLNG価格も大幅な上昇傾向にあり、今後も原油価格にスライドして上昇傾向が続くことが予想される。
原料費調整制度に基づく来年1月~3月のガス料金については、7月~9月の平均輸入LNG価格などに基づいて算定され、9月分の貿易統計値が公表される今週末に確定する。もし、9月分の貿易統計値の輸入LNG価格などが8月と同程度になると仮定した場合には、大手4社をはじめ多くの事業者のガス料金が上がるものと予想している。

■今後のガス事業制度改革)
昨年4月から年間契約使用量50万m以上のお客さまに対して、自由化範囲が拡大された。これによって、2005年8月現在、電気事業者をはじめ、国産天然ガス事業者、石油会社、商社等の新規参入実績は、16事業者74件に及び、自由化された市場のうち新規参入者による供給量が占める割合は7.6%に達した。自由化された電力市場における新規参入者の占める割合が約2%であるのと比べると参入が進んでいる状況にある。
2007年には、年間契約使用量10万m以上の小規模工場や小規模ビルへの供給についての自由化範囲の拡大が予定されており、その自由化範囲は全ガス需要の60%近くに達する見込みとなっている。先ごろ、経済産業省の都市熱エネルギー部会ガス安全小委員会やガス政策小委員会において検討が開始されたが、検討にあたっては、前回の都市熱エネルギー部会での議論とこれまでの自由化成果の適切な評価を踏まえた上で、天然ガスシフトの加速化を推進するためのインセンティブを損なうことがないよう、慎重に進めるべきであると考えている。

■環境自主行動計画2004年度実績
産業界は、日本経団連の環境自主行動計画に沿って、これまで、CO排出量の削減への取り組みを着実に進めてきた。私ども都市ガス事業者も、業界を挙げて取り組んできた結果、2004年度の実績は、都市ガス製造量が1990年度に比べ1.9倍に増加したにもかかわらず、製造・供給段階でのCO排出量は116万トンから76万トンへと35%近く減少した。
製造量は、天然ガスの環境適合性・供給安定性が優れていることやガス空調・ガスコージェネレーションの省エネ性等が評価され、大きく増加している。CO排出量の削減については、今後とも高カロリーガスへの転換やLNG冷熱利用、さらには省エネルギー対策など、製造効率向上への取り組みを通じ、2010年度目標である73万トン達成に向けて努力していく。

■日本ガス体エネルギー普及促進協議会・コラボの設立
10月20日に私ども日本ガス協会は、日本LPガス団体協議会、日本簡易ガス協会と「日本ガス体エネルギー普及促進協議会」通称「コラボ」を設立した。エネルギーを取り巻く情勢が大きく変化する中で、ガス体エネルギーが今後とも国の基幹エネルギーとしての役割、責任を果たしていくためには、業界の枠を超えて、より大局的な見地に立って政策提言、情報発信、提案活動などに取り組むことが必要であると考え、本協議会を設立した。
当面の活動としては、第一に高効率ガス給湯器の普及拡大である。『エコジョーズ』や『エコウィル』の2010年度の普及目標が、それぞれ280万台、19.5万台とされており、今後、機器メーカーとも連携し、技術開発およびコストダウンを推進して早期の目標達成を実現していきたい。
第二は、安全なガスコンロの普及拡大である。最近はガス機器も進化しており、安全・省エネでとても使いやすい機器が次々と販売されているが、まだまだPR不足の感が否めない。ガスの上手な使い方や省エネ情報の提供などを「コラボ」が一体となってアピールしていきたい。
その他、地震等緊急事態における提携協力なども推進していく。


以 上