平成18年6月13日


日本ガス協会 野村会長 定例会長会見発言要旨



■はじめに
わが国の経済については、緩やかながらも設備投資や消費の回復による景気拡大が続いており、政府でも、本年11月には戦後最長の「いざなぎ景気」を超えるとの見方が示されているところである。ただ一方で、原油価格の高騰や長期金利の上昇など先行き懸念もあるので、必ずしも楽観できるものではないと考えている。
都市ガス業界においては、原油価格ほどではないものの、LNG輸入価格が上昇傾向にあることは懸念材料である。ガス販売量については、平成17年度は冬期の低気温にも支えられ全体で前年比7.7%増となった。お客さまに都市ガスを選択し続けて頂くため、都市ガス事業者は最大限の努力をしなければならないと考えている。
国のエネルギー政策においては、省エネルギーの推進、石油依存度の引き下げ、エネルギーセキュリティの確保などを織り込んだ「新・国家エネルギー戦略」が5月に策定され、また秋にかけて「エネルギー基本計画」の見直しが行われることになっている。従来から天然ガスの導入促進は国のエネルギー政策の柱のひとつであったが、今後のエネルギー政策においてもその重要性は変わることがないものと確信している。
ガス事業制度については、平成19年4月に予定されている小売自由化範囲拡大に向けた制度の枠組みが、去る5月に開催された都市熱部会において最終的に取りまとめられた。今後、各都市ガス事業者が適切に対応できるように、協会としてサポートを行っていく。また、小売全面自由化の課題整理が今後行われるが、都市ガス業界としては、消費者利益の観点に立って、制度面・保安面から慎重な検討が必要だと考えている。

■日本ガス協会平成18年度の重点課題
日本ガス協会は、都市ガス事業者の基本的使命である「保安の確保」および「安定供給」を実現しつつ、「天然ガスの普及拡大を図ること」が我々の最重点課題であると認識し、平成18年度は、特に次の3点を重点活動項目と位置付けている。1点目が「天然ガスのお客さま価値向上」。2点目が「分散型エネルギーの普及拡大」。3点目が「エネルギー政策課題への取組み」である。
①天然ガスのお客さま価値向上
天然ガスは環境性や供給安定性に優れていることはもちろん、使いやすい身近なエネルギーであることをお客さまにご理解いただくことが大切である。そのために、「ウィズガス」という基本コンセプトワードを旗印に、最新の高効率ガス機器による、快適かつ経済的で環境に優しい安心・安全な生活の実現などを積極的にPRしていきたいと考えている。その一環として、LPガスや簡易ガスの業界と昨年設立した「日本ガス体エネルギー普及促進協議会」、別称「コラボ」が中心となって、ガス石油機器工業会・キッチンバス工業会・日本住宅生産団体連合会の皆さまとともに「ウィズガスCLUB」を設立した。
本年4月には、改正省エネルギー法が施行されたが、エネルギー事業者として、あるいはガス機器の小売事業者として、世界最高レベルにある我が国の省エネルギーのさらなる向上に、積極的に取り組んでいきたい。
②分散型エネルギーの普及拡大
京都議定書目標達成計画では、2010年度における天然ガスコージェネレーションの累積導入量は498万kWと意欲的な計画となっている。この計画を推進するため、建物間エネルギー融通などエネルギーの面的利用による省CO2型の地域・都市構造や社会経済システムの形成が必要だと考えている。
また分散型エネルギー技術高度化のため、「固体高分子形燃料電池」に続いて導入が期待されている「固体酸化物形燃料電池」や、将来の水素エネルギー社会に備えた「水素供給システム」等の技術開発に、積極的に取組む。
③エネルギー政策課題への取組み
天然ガスは化石燃料の中で最も環境性に優れており、また世界各地に幅広く埋蔵されていることから地政学的リスクも低いエネルギーである。天然ガスの導入促進は、環境面でも、国全体のエネルギーセキュリティの面でも大変重要なものと考えている。今後もこうした私どもの主張を申し述べていきたい。

以 上

※なお、上記の定例会長会見に先立ち、会長交代会見を開催した。安西前会長が退任の、野村新会長が就任の挨拶を行った。