天然ガス自動車
の
普及に向けて
5
世界における次世代自動車の主流は天然ガス自動車
2.3 ヨーロッパでの普及状況
欧州では2003年の50万台から2014年には190万台へと急速に普及しています。EUとしても、2020年までに輸
送用燃料の20%を代替燃料に転換する政策を導入しました。また、2013年1月に「代替燃料のインフラ整備に関
する指令」を出し、この中で輸送分野の代替燃料としてCNGとLNGも定義されています。
天然ガス自動車発祥の地であるイ
タリアではエネルギー自給の必要性
から、国内産の天然ガスを利用して
の天然ガス自動車の普及が1930年
代に始まりました。先進国で最も普
及が進んでおり、CNG・LPG改造
車産業が発達しています。2015年
12月現在、89万台の天然ガス自動車が普及し、天然ガススタンドは1,060ヶ所設置されています。車輌でいうと、フィ
アット社は12車種も天然ガス自動車を販売しています。NOxをはじめとする有害物質の削減に貢献できる、ガソリ
ン車と比べCO₂排出量を23%低く抑えられる、再生可能エネルギーの利用が可能と天然ガス自動車のメリットを強
調、販売実績も伸ばしています。
また、イタリアのロンバルディア州(州都ミラノ市)では、天然ガス自動車走行レーンの設置など、天然ガス自
動車を優遇する条例があり、既に公共バスの4分の3に導入されています。また2015年に開催されたミラノ万博で
も送迎バスには天然ガスバスが使用されました。
ドイツでも石油依存からの脱却やPM対策など
の環境政策により天然ガス自動車の普及が進め
られており、2015年5月現在9.8万台が普及して
います。天然ガススタンドは921ヶ所となっており、
24時間営業、セルフ化、マルチディスペンサー
対応など利便性向上に向けた取り組みが進めら
れています。
フランスのパリ市ではNOxやPMの低減のため
にバス、トラック、塵芥車などの大型車両につい
ては、メーカーや大手デパートなどの協力を得て
天然ガス自動車への転換を進め、2020年までに
乗用車を含むディーゼル車のパリ市内への進入
を禁止する旨の報告がありました。
環境先進国であるスウェーデンでは、自動車燃料におけるバイオ燃料シェア拡大を進めており、これを燃料とす
る天然ガス自動車が増えています。
※3 OEM車:Original Equipment Manufacturer Vehicle…メーカーが自ら生産した天然ガス自動車のことをOEM車と言い、ガ
ソリン車やディーゼル車として一度完成させた車両を後改造によってCNG車にしたものと区別している。
豊富なOEM
(※3)
天然ガス自動車
OEM
(※3)
天然ガス自動車メーカー
2011年発表されたVW up!
ニュルブルクリンク24に出場したバイオガス車
ドイツの天然ガス自動車/スタンドの普及状況
マルチディスペンサー
スウェーデンのCNG市バス
出典:Germany-Country Report, Timm Kehler-Erdgas Mobil(NGV2010)
天然ガス自動車・天然ガススタンドが
一貫して増加