| 所在地 | 長崎県諫早市 |
| 新築/既存 | 既存(1931年竣工) |
| 建物構造 | 地上4階 旧館:RC造新館S造 |
| 延床面積 | 4,310.06㎡ |
| 竣工年月 | 2024年7月 |
| ガス設備 | GHPハイブリッド空調 潜熱回収型ガス給湯器 |
ZEB化の取組み
①築百年近い建物の改修ZEB
- 1931年竣工の銀行を事務所・地域交流拠点の用途にフルリノベーションしてZEB Readyを達成
②文化財の再建とZEB化の両立への挑戦
- 旧館は県の「まちづくり景観資産」に登録されており、外壁の改修制約があるなかで、屋根と新館の断熱強化により外皮性能を向上
- 内装の復元にはAIを活用して特注品を製作。当時は存在しなかった高効率設備を設置しながらも復元空間の雰囲気を崩さない工夫を実施
③高効率空調の採用
- GHPの採用に加え、電気・ガスのハイブリッド空調を採用してBEIを低減
主な導入設備
| 外皮断熱 | 旧館屋根: 押出法ポリスチレンフォーム断熱材 t50mm新館屋根: 現場発泡硬質ウレタンフォーム t50mm新館外壁: ネオマ耐火スパンウォール (フェノールフォーム断熱材1種2号CⅡ t50mm + 木毛セメント板 t25mm)、 Low-Eガラス |
| 空調 | GHP、ハイブリッド空調 |
| 換気 | 全熱交換器、厨房給排気インバーター制御 |
| 照明 | LED照明※自動調光制御、人感センサー |
| 給湯 | 潜熱回収型ガス給湯器 |
| その他 | 自然換気 |
主要ガス設備
- 高効率GHP、ハイブリッド空調
本建物では高効率GHPの採用の他に、ハイブリッド空調を導入。GHPと電気空調(EHP)を同一冷媒系統に組み合わせ、「ガスと電気のベストミックス」を個別空調で実現。 - 潜熱回収型ガス給湯器
従来機では捨てていた排ガスからエネルギーを回収。排ガス温度を約200℃から約80℃に下げることによる熱回収と同時に、排ガス中に含まれている水蒸気を水に戻す潜熱回収により、熱効率93%~95% (HHV) の高効率を実現。
| 設備容量 | GHP35.5kW ×1台 ハイブリッド空調67.4kW ×1台 潜熱回収型ガス給湯器 24号×1台20号×1台 |
ハイブリッド空調
潜熱回収型ガス給湯器
その他の導入設備

全熱交換器

自動調光制御

人感センサー
復元空間の雰囲気を崩さない空調換気設備の設置検討
昭和6年(1931年)竣工当初は存在しなかった空調換気設備の設置検討
- 復元空間の雰囲気を崩さない
- 吹抜回廊の有効活用(既存空間をそのまま使用する)
- あえて隠さない
【店舗吹抜】
- 壁、天井保存のため空調設置スペースがほぼなく、天吊型や床置型の検討を行ったが、復元空間のイメージとかけ離れていた。
- 回廊空間に、空調機器(天井埋込ダクト型)、ダクト、配管を全て手すりの高さ(840mm)以下に納めた。
- 吹出口は壁床に断熱材がないため空調空気の到達距離を十分に考慮し選定。意匠性に配慮し木製手すりの内側より吹出す。
- 復元空間の中でも邪魔をしないかつ あえて新しいものと分かる存在とした。
照明や空間の復元
STEP1
竣工写真と竣工図からサイズを割出し製作図を作成
シャンデリア

ブラケット照明

シャンデリアの製作図
STEP2
モックアップを作製しサイズの確定・色見本から塗装の色を確定
STEP3
製作工場にて製品検査を行いディティールの修正- 昇降天井にて実際の高さに設置しサイズ感や明るさ感を確認
- 調光を確認し、部屋の雰囲気の確認
- 隙間からの光漏れなどの是正指示
- LED電球の球替え方法などの確認
(左:執務室、 右:会議室)
ZEB化の経緯・きっかけ
- 株式会社九州ガスホールディングス 栗林 宏光 社長
本建物は長崎県の地方銀行として、1931年竣工の旧館と増築された新館(1980年竣工)からなり、旧館は長崎県の「まちづくり景観資産」に登録(2010年)され、文化財としても価値があった。しかし銀行の合併に伴い支店網が統合され、空き家状態となっていた。
諫早を象徴する街のシンボルが取り壊されてしまうことを危惧し、九州ガスホールディングス(HD)が建物を取得して保存と再建させることを決断した。
事業コンセプトとして「地域のシンボルの再建」、「古いものと新しいものの対比と調和」、「エネルギー企業としての環境貢献」、「若き経営者のまちづくりへの支援」を掲げ、歴史ある建物を復元すると同時に、ガス設備を活用したZEB実現を目指した。
既存建築物でガスによるZEB化は難しいと先入観で考える人も多い。築百年近い建物でも何とかなることを証明したかった。
スケジュール
| 2022年 3月 | 企画設計開始 |
| 2022年10月 | 基本設計開始 |
| 2023年 1月 | 実施設計開始 |
| 2023年 8月 | 着工 |
| 2024年 7月 | 竣工 |
| 2024年11月 | テナントオープン |
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写真左から、九州テクノ新飼専務、
九州ガスHD今里専務、栗林社長、御所様
ZEB化の成功要因
- 九州テクノ株式会社 新飼 泰弘 専務
コンセプトにある「地元エネルギー企業としての環境貢献」を実践するべく、改修でのZEB化を目指したが、建物の保存・再建との両立は大きなチャレンジであった。
躯体について、旧館は現行基準と同程度の耐震性能を有しており、大規模な耐震工事は不要であったものの、一方で建物保存との関係で壁面の断熱工事は困難であったため、屋上のみ断熱材を施工。新館はスケルトン化して外装・内装共にフルリノベーションし、Low-Eガラスを採用して外皮性能を向上させた。
空調設備はGHPと併せてGHP+EHPのハイブリッド空調を採用して空調BEIの低減を図った。その他に全熱交換器、厨房吸排気インバータ制御、LED自動調光制御と人感センサー等、様々な技術を導入し、築百年近い建物でのZEB Readyを実現することができた。
建物内における空調換気設備の設置においては、省エネ性能のみならず、復元空間の雰囲気を崩さないために幅広い工夫が必要であった。
そもそも空調換気設備は昭和六年竣工当時にはなく、その後の改修で天吊り空調等が設置されていた。今回は復元する空間の雰囲気を重視し、復元の可逆性(あえて隠さず、今回設置したことがわかるという意味)を考慮して、吹抜回廊に天井埋込ダクト、配管を手すりの高さ以下に納め、既存手すりのデザインを損なわない納まりとした。
壁床に断熱材がないため、吹出口は空調空気の到達距離を十分に考慮し選定するとともに、意匠性に配慮し、手すりの内側から吹出すようにし、復元空間の中でも邪魔をしないかつあえて新しいものと分かる存在とした。
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写真左から、九州テクノ新飼専務、
九州ガスHD今里専務、栗林社長、御所様
ZEB化による効果(設計値)
九州ガスホールディングス新社屋建設工事