所在地 | 福岡県糟屋郡志免町 |
新築/既存 | 新築 |
建物構造 | 地上1階 S造 |
延床面積 | 9,995㎡ |
竣工年月 | 2021年2月 |
ガス設備 | GHP、ガス給湯器(潜熱回収型) |
ZEB化の取組み
①外皮性能向上や高効率空調導入によるZEB実現
- 省エネに不利な平屋建店舗であるが、屋根面の断熱・遮熱の対策強化を行い、空調負荷を低減
- 室外機2台を連結したGHPを導入し、低負荷時の運転効率を向上
②レジリエンス強化
- 太陽光発電、蓄電池、非常用発電機を導入。停電時には照明、非常用コンセントの利用や省電力なGHPにも給電を行い、空調も継続する災害対応型店舗
主な導入設備
外皮断熱 | ポリスチレンフォーム断熱材 ロックウール断熱材(吹付、半湿式) |
空調 | GHP |
換気 | 外気取入れ量制御(CO2制御)/ 外気冷房 |
照明 | LED照明 タイムスケジュール制御/在室検知制御 |
給湯 | ガス給湯器(潜熱回収型) |
再エネ | 太陽光発電(全量自家消費) リチウムイオン蓄電池 |
主要ガス設備
【高効率GHP】
- 店舗エリアには、最新型の高効率GHPを採用。来店客の滞在時間や動線を考慮して室内機配置を工夫。CO2センサーを用いた換気制御や積極的な外気冷房等により快適性を向上させつつ、空調容量の最適化も実践(100kcal/㎡・h程度※)
- また、低消費電力の特性を利用して停電時には非常用発電機から給電し運転を継続。災害時のレジリエンス強化にも貢献。
設備容量 | 994kW(71kW×2台×7系統) |
※100kcal/㎡・h=116.3W/㎡。なお、非住宅建築物の外皮・設備設計仕様とエネルギー消費性能の実態調査-省エネ基準適合性判定プログラムの入出力データ(2021年度)の分析-(国土技術政策総合研究所)によると、大規模物販(1万㎡以上)、パッケージエアコンディショナ(空冷式)では、5地域の中央値221.8W/㎡、6地域の中央値141.0W/㎡。
高効率GHP
【GHP導入メリット】
GHPは室外機のコンプレッサーを電気モーターではなくガスエンジンで駆動させるため、空調使用による消費電力を電気式(EHP)に比べ約90%削減。
空調が最も多く稼働するのは夏季であり、一般的に建物全体の電力デマンドのピーク期となる。
空調が押し上げる電力デマンドが1年間の契約電力となり、電力基本料金が決定されるが、GHPを導入することで夏季の電力使用量を抑制し、電気料金の大幅低減が可能。
本店舗においても、GHP導入より夏季の電力使用量とデマンドの抑制に成功。省エネだけでなく電気料金の低減に寄与した(図参照)。
ビバホームでは2007年以降より室外機2台を連結したGHPを標準的に採用。
空調負荷に応じた台数制御運転により更なる省エネを実現し店舗のZEB化へ貢献するだけでなく、省施工、長寿命化など複数のメリットを合わせ持つ。
(参考)室外機2台を連結したGHPの紹介
https://www.yanmar.com/jp/energy/ghp/outdoor/2p_multi.html
出典:ヤンマーエネルギーシステム株式会社
その他の導入設備
換気設備
第一種換気及びCO2センサーによる自動制御を採用することで、空調設備の負荷を抑制し省エネにつなげるとともに店内の空気を約30 分で入れ替え
LED照明
店舗エリア照明はタイムスケジュール制御、調光制御を採用(バックヤードは在室検知制御を導入)
非常用発電機
停電時に3日間の営業継続が可能
空調、照明、非常用コンセントへ給電
発電能力:225kVA
太陽光発電設備
店舗屋上に太陽光パネルを設置
発電容量:20kW
蓄電池
太陽光パネルで発電した電気を蓄電
蓄電容量:25kW
貯水タンク
断水時に飲料水の提供や水洗トイレの開放が可能
レジリエンス強化型ZEB
スーパービバホーム福岡東店の災害時における店舗継続イメージ図
災害時の店舗稼働継続
店舗エリアに消費電力の少ないGHPを導入することで、停電時にも非常用発電機からの給電により照明だけでなく空調も可能
災害時充電サービス
非常用発電機からの給電によりお客様向けの携帯電話などの充電サービスを提供可能
災害時給水サービス
貯水タンクなど非常用給水設備の導入により、断水時にも飲料水の提供や水洗トイレの開放が可能
出典:株式会社ビバホームプレスリリース(2021 年3月 18 日)
出典:株式会社ビバホームプレスリリース(2021 年3月 18 日)より
災害時にも利用可能な地域災害時拠点としての店舗運営
防災売場では、LCP(Life Continuity Plan:生活継続計画)をコンセプトにした商品を幅広く販売
地震、台風、洪水等の一次災害対策商品に加えて、ライフラインストップによる二次災害の備えとなる商品を災害種類ごとに分かりやすく展開し、地域住民の皆様の“安全・安心な暮らし“を守りサポート
(参考) ZEBリーディング・オーナー導入計画はこちら
https://sii.or.jp/file/zeb_leading_owner/ZEB2020L-00020-P_02.pdf
出典:SIIウェブサイト
ZEB化の経緯・きっかけ
- 設計を手掛けたbe_Pro・ject
(ビー・プロジェクト)の林浩司社長
ビバホームは以前から省エネ意識が高く、高効率GHPやLED照明の導入に加え、空調容量の最適化も徹底していた。2016年頃から空調のさらなる省エネに取り組む中で、他社の物販店舗がZEB化したのを契機に、目標をZEB化に設定。外皮の断熱性能の向上も視野に入れて建物全体の省エネを徹底的に実施した。平屋の物販店舗は外気に触れる部分が外壁より屋根面が大きく、特に屋根の断熱・遮熱の対策強化がポイントとなった。
- 設計施工を担当したりんかい日産建設
消防法の制約もあった。開口部は火災時に店舗内に入りやすいよう単板ガラスを採用するか消防設備の増設が必要。コスト面から事実上単板ガラスしか選択肢がない中で、屋根に50mmのデッキ材の断熱材を敷くなど、全体として断熱性能を確保した。
スケジュール
2019年8月~11月 | 基本設計 |
2020年2月~6月 | 実施設計 |
2020年4月 | 補助金申請 |
2021年2月 | 竣工 |
レジリエンス強化型ZEBの成功要因
- ビバホームを運営するアークランズ店舗開発部
営繕課の有國幸恵氏
ビバホームでは1990年代半ば以降、郊外店舗にGHPを標準採用してきた。当社は省エネやレジリエンスを重視し、災害時でも資機材を売り、避難所になる店舗づくりを心掛けている。GHPは消費電力が少なく、停電時に非常用発電機でも電気を十分賄える。当社の店舗開発方針と非常に親和性が高かった。
ZEB建物ではないが2018年3月に開業したスーパービバホーム白石本通店(北海道札幌市白石区)では、同年9月に発生した北海道胆振東部地震で道内全域停電した際も店舗稼働を継続できた。同店の災害支援活動は地域の方々から感謝をいただき、2019年2月に札幌市長から感謝状が授与されるなど当社の取組みを評価いただいた。これらの経緯もあり、以降の店舗ZEB化検討においても、レジリエンス重視を大前提として計画を進めた。
- 設計を手掛けたbe_Pro・ject
(ビー・プロジェクト)の林浩司社長
ZEBを実現するにあたり、ビバホームのレジリエンス重視の姿勢も崩すことなく取り入れた。環境省のレジリエンス強化型ZEB実証事業の補助金を活用し、停電時には空調、照明、コンセントの利用に給電するレジリエンス強化型ZEB店舗をビバホームの独自路線として実現することができた。