所在地 | 北海道札幌市中央区 |
新築/既存 | 新築 |
建物構造 | 地上3階 RC造 |
延床面積 | 856㎡ |
竣工年月 | 2022年12月 |
ガス設備 | GHP、給湯器 |
ZEB化の取組み
①外皮性能向上と高効率空調設備の導入
- 高断熱外壁とLow-Eガラス窓を配し、換気に全熱交換器を導入して空調負荷を極力抑え、高効率な寒冷地仕様GHPを採用することで高い省エネルギー性を実現
②レジリエンス強化
- GHPは自立発電機能を有する停電対応型とし、あわせて軽油の非常用発電機も導入することで、停電時にも事業継続可能なレジリエンス強化型のZEB Ready事務所ビルを実現
③ガス会社によるZEBコンサルティング
- 北海道ガスがZEBプランナーとしてコンサルを務めZEB化を推進
主な導入設備
外皮断熱 | 吹付硬質ウレタンフォーム 100mm(外壁・屋根) Low-E複層ガラス(空気層) |
空調 | GHP |
換気 | 全熱交換器 |
照明 | LED照明 人感検知制御/明るさ検知制御 |
給湯 | ガス給湯器(即出湯機能付) |
主要ガス設備
【高効率GHP】
- 停電対応型GHP56kW、標準型GHP35.5kWを導入。各階には4台の室内機を設置し、うち3台(計9台)が停電対応型GHPに接続
- 停電時には、停電対応型GHPの稼働により室内機3台でフロア全体の空調を賄うと同時に、各階の非常用コンセントが利用可能
- さらに、非常用発電機から標準型GHP35.5kWへの給電も可能。停電下でも3日間の事業継続を可能とした
設備容量 | 計91.5kW 停電対応型GHP56.0kW×1台 標準型GHP35.5kW×1台 |
高効率GHP
【ガス給湯器】
- 即出湯機能付きFF(強制給排気)型32号を1台導入
- 循環式で湯待ちのない快適さを担保しつつ、電気温水器に比べ高い省エネ性を実現
設備容量 | 給湯器32号×1台 |
ガス給湯器(即出湯タイプ)
その他の導入設備
全熱交換器
・事務所やホールに導入
・換気の際に排出される、涼しい・暖かい室内の熱を回収し、空調負荷を大幅に低減
LED照明
・LEDを採用し、人感検知制御、明るさ検知制御を導入
非常用発電機(軽油)
・停電時に3日間の営業継続が可能
・空調、照明、非常用コンセントへ給電
発電容量:35kVA
窓
・通常の単層ガラスと比較して大幅に断熱性能が高いlow-E複層ガラス(空気層)を採用
・必要な窓面積を確保しつつ、高い外皮性能確保に寄与
停電時の業務継続イメージ
【高効率GHP】
- 停電時は停電対応型GHPが稼働し各階室内機4台中3台で空調を継続、加えて各階の非常用コンセントが利用可能
- 非常用発電機を稼働させることで照明やコンセントだけでなく標準型GHPにも給電可能。停電時も最低3日間の業務継続が可能となる
北海道ガスのZEBコンサルティング
【北海道ガスのZEBプランナーとしての取り組み】
北海道ガスは、2021年4月よりZEBプランナー※1として、建物計画・設計段階でのシステム提案から補助金申請、運用サポートまで担うコンサルティング業務を開始
(株)恵和ビジネス ディジタルビル様は北海道ガスがZEBプランナーとしてコンサルティングした第一号案件
北海道ガスが目指すZEBのイメージ
【北海道ガスの目指すZEB】
- 災害に強いガスインフラと停電対応型コージェネレーションやガス空調設備を組み合わせることで、快適性を確保しながら「省エネ」と「レジリエンス強化」を兼ね揃えたZEBの普及拡大
- 太陽光発電設備等の導入を推進するとともに、導入出来ない建物にはCO2排出量実質ゼロのエネルギー(ガス※2・電気)を供給することで「カーボンニュートラルビル」を実現
北海道ガスが提供するカーボンニュートラル
に向けたトータルソリューション
※1 ZEBプランナーとは
・「ZEB設計ガイドライン」や「ZEBや省エネ建築物を設計するための技術や設計知見」を活用して、一般に向けて広くZEB実現に向けた相談窓口を有し、業務支援(建築設計、その他設計、コンサルティング等)を行い、その活動を公表する事業者
・2017年度から制度開始、一般社団法人環境共創イニシアチブが毎年度公募
・1法人につき1登録で、登録種別は「設計」「コンサルティング等」の2種類
・国のZEB補助金活用には、プランナーの関与が必須条件
※2 環境価値を付加したカーボンニュートラル天然ガスを活用
(参考)北海道ガスのカーボンニュートラル天然ガス
https://www.hokkaido-gas.co.jp/total_energy/cnlng.html
ZEB化の経緯・きっかけ
- 北海道ガス第一営業部の佐々木功係長
2021年7月に恵和ビジネス様より、老朽化ビルの建て替えに伴う新社屋の事業継続性向上についてご相談を頂いたことがきっかけ。北海道ガスは同年4月にZEBプランナーに登録しており、省エネが事業継続性の向上にも繋がる切り口から建物ZEB化の提案を実施した。
- 恵和ビジネスの後藤憲一執行役員総務人事部長
胆振東部地震で全域停電を経験し、空調と電力の機能維持の重要性を認識したため北海道ガスに相談した。ZEBのことは知らなかったが事業継続性を向上できる事に加え、初期投資もランニングで回収でき、かつ、環境にも良いため採用に至った。
スケジュール
2021年7月~ | 新社屋のZEB化検討の開始 (基本計画・基本設計) |
2021年12月~ 2022年4月 | 実施設計 |
2022年4月 | 着工 |
2022年12月 | 竣工 |
北海道ガスのZEB化プランニング
- 北海道ガス第一営業部の小笠原将太主任
設計を手掛けた創建社様と連携して、快適性を損なわずに空調、給湯のBEIを下げる検討を行った。空調については、GHPがEHPに比べエネルギー消費効率で遜色がないことを説明し、恵和ビジネス様が求める省エネとBCP対策を兼ね備えたZEBを実現するために停電対応型GHPの導入を提案した。給湯については、電気温水器よりも効率が良い即出湯機能付ガス給湯器とすることで、湯待ちがない快適性を担保しつつBEIを下げることが出来た。
- 設計を手掛けた創建社の永瀬次郎執行役員設備担当部長
今までの案件で空調はEHP(電気ヒートポンプ)を検討してきたが、寒冷地では外気温の低下に伴い暖房能力が下がるのが課題と感じていた。今回、北海道ガスからの提案を受け、省エネとレジリエンスを両立できる停電対応型GHPを採用するに至った。
ZEB+カーボンニュートラル
- 北海道ガス第一営業部の渡邊翔係長
設置スペース等の理由で太陽光発電設備は導入出来なかったため、カーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)天然ガス・電気の供給を提案した。恵和ビジネス様の環境問題への取り組みと合致するとともに、ZEB化により、エネルギー使用量を大幅に減らすことで通常建物よりもランニングコストの削減が可能となり、カーボンニュートラル化によるコストアップの回収見通しが立つことから採用に至った。