建物概要
所在地静岡県浜松市
新築/既存既存(2001年竣工)
建物構造地上3階 S造
延床面積2,305㎡
竣工年月2022年4月
ガス設備GHP
ZEB化の概要

ZEB化の取組み

①「普段着のZEB」の推進

  • 既存製品で省エネ性能が高い機器など、出来る限り一般的な技術を採用してコストを抑え、見た目は普通だが省エネ性が高い「普段着のような」ZEBを実現

②空調容量最適化による大幅な省エネの実現

  • 全熱交換器の採用とともに、室内の気流・温度シミュレーションにより空調設備容量を既存の半分以下とし、最新GHPに更新することで大幅な省エネを実現
  • 隣接する倉庫の屋根にも太陽光パネルを設置し、Nearly ZEB を達成

③工期の短縮化によるZEB化改修の実現

  • 空調設備容量の大幅な見直しにより、GHP冷媒配管や換気ダクト等の大規模改修が必要となったが、建築、設備、施工部門の担当者間で綿密な検討を重ね、改修範囲を最小化し工期の短縮を実現

主な導入設備 (下線部は既存仕様を流用)

外皮断熱グラスウール断熱材
外壁:50mm 屋根:100mm
複層ガラス
空調GHP、デシカント空調
換気全熱交換器
照明LED照明
(人感センサー制御・ゾーニング制御)
給湯電気温水器
再エネ太陽光発電
その他BEMS

主要ガス設備

  • 最新型の高効率GHPへ更新
    電力デマンドの削減効果が大きく、省コストと省エネを両立できることから、既存建物の新築時からGHPを採用。今回、空調設備容量を既存の半分以下とした上で高効率な最新型へ更新することで大幅な省エネを実現
  • 気流・温度シミュレーションによる空調設備容量の最適化
    流体解析によるシミュレーションを実施し、最適容量を決定。その結果、冷房の設備容量を従来の504kWから232kWに54%低減し、設備コストの低減と大幅な省エネを実現
設備容量合計231.9kW
(22.4、28.0、35.5、56.0 kW×各1台
45.0 kW × 2台設置)


高効率GHP



流体解析による気流・
温度シミュレーション


その他の導入設備


換気設備

全熱交換器を導入。建築、設備、施工部門の担当者間で綿密な検討を重ねることで、ダクト経路の変更等に伴う天井改修範囲を最小化し工期を短縮


照明設備

照明は節電対策として既にLED化済み。廊下、エントランスホール等、非執務エリアの照明に新たに人感センサー制御・ゾーン制御を導入し更なる節電を実現


太陽光発電設備

Nearly ZEB達成のため、本社屋上(36.66kW)に加え、同一敷地内隣接倉庫屋根(44.46kW)にも設置


計測システム(BEMS)

エントランスホールの大型モニターでZEBの取組みや実績を見える化し、従業員や来館者の省エネ意識を醸成



ZEB設計の概要


(参考) ZEBリーディング・オーナー導入計画はこちら
https://sii.or.jp/file/zeb_leading_owner/ZEB2021L-00001-P_02.pdf

出典:SIIウェブサイト

ZEB化の経緯・ご担当者のコメント

ZEB化の経緯・きっかけ

  • 2017年に地元の設計・施工コンペで、他社のZEB提案により落選したことをきっかけにZEBの取組みを開始。同年ZEBプランナー登録後、本社ビルZEB化改修のケーススタディを実施し、ZEB化改修が可能であることを確認。
  • 新築案件でのZEB化の実績を積み上げていた頃、本社ビルにおいて設置後20年を経たGHPの更新計画が浮上。ZEB化改修のノウハウ取得、顧客へのPRの絶好の機会となることから、中期計画で掲げたカーボンニュートラル化の方針にあわせてZEB化改修への挑戦が決定。
  • 地元の同業他社が本社ビル新築時にNearly ZEBを獲得済みであったため、改修で同水準のNearly ZEBを目指した。

スケジュール

2020年12月ZEBの検討開始
2021年2月~4月設計
2021年10月~
2022年3月
施工(補助金対象工事:
~2021年12月)
2022年4月竣工

ZEB化の成功要因

  • 須山建設株式会社 設備チーム 吉田康平氏
  • 本社屋のZEB化については、改修ならではの難しさがあった。空調容量を大幅に見直したことで、GHP冷媒配管や換気ダクト等の大規模改修が不可避となったからだ。こういった場合、一般的には天井全面をはがして工事をするが、補助金に対応するため工期の短縮が必要になった。
  • そこで、建築、設備、施工部門の担当者間で綿密な検討を重ね、改修範囲を最小化し工期を短縮した。また通常業務を続けながらの改修工事であったため、従業員の協力が得られたことも大きい。
  • 天井の一部に残されたパッチワーク状の施工跡がその徹底ぶりを物語っている。見学の際には是非ご覧いただきたい。


ZEB普及に向けた取組み

  • 須山建設株式会社 安井孝浩執行役員
  • 一般的な建材・設備を使う「普段着のZEB」を強みに、顧客にもZEBを提案しており、設計実績12件は静岡県下No.1・全国8位(2023年1月時点)。新築・既存建築物問わず取り組んでいる。
  • ZEBへの理解を深めることがカーボンニュートラル貢献につながるため、自社が手掛けた案件を顧客やメディア等に積極的に公開しており、高いPR効果によって顧客も喜ばれている。
  • このような活動が評価され、2021年度静岡県地球温暖化防止活動知事褒賞、2022年度環境省気候変動アクション大賞を受賞した。今後も「普段着のZEB」の普及に取り組んでいきたい。


ZEB化改修による効果(実績)

改修前後のエネルギー削減効果
(2月~10月のエネルギー消費量)


須山建設様のZEB実績(2023年1月時点)

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