建物概要

所在地神奈川県小田原市
新築/既存新築
建物構造鉄骨造
延床面積42,624㎡
竣工年月2026年度 予定
ガス設備コージェネ排熱投入型吸収冷温水機

※開院前の名称は小田原市立病院となります。「小田原市立総合医療センター」の名称は開院後からとなります

ZEB化の概要

ZEB化の取組み

①病院の実態を徹底分析し、大型総合病院における最高性能ZEB

  • A)外気負荷が大きいこと、B)医療機器の排熱が多く年中冷温熱が必要であること、C)重厚な設備容量に伴い低い運転効率となること、を重点課題と位置づけ。
  • 病院のスタッフの他、医療機器メーカーや医療コンサルタント等も対象に実施した累計800回以上のヒアリングによって、病院の実運用を徹底的に分析し、医療環境を維持しながら高度なZEB化が実現。

②設計施工一体発注による密な連携

  • 2050年カーボンニュートラルを掲げる小田原市は、環境配慮とLCCの縮減を軸とした要求水準書を作り込み、先進的な技術提案を促進。
  • 運用に則した設備容量の最適化と、前工程の進捗に合わせて段階的に工事を推進する地道な調整による工期縮減により、コスト削減とZEB化を両立。

③災害拠点病院としてのレジリエンスの確保

  • コージェネを活用するなど、各熱需要(冷房・暖房・減菌・給湯)に対し、複数のエネルギー源からエネルギー供給が可能なシステムを採用。

主な導入設備

外皮断熱 バルコニー/庇による日射遮蔽、Low-E複層ガラス
空調空冷ヒートポンプチラー、排熱投入型吸収冷温水器、熱回収ヒートポンプ(排熱利用)、水熱源ヒートポンプ、コージェネ排熱利用
照明LED照明
給湯熱回収ヒートポンプ、コージェネ排熱利用、ボイラー
再エネ太陽光発電設備

主要ガス設備

  • コージェネレーションシステム
    • コージェネは、排熱が無駄にならないよう十分な熱負荷がある場合に運転。昼間は年間ほとんどの日程で稼働。
    • 災害時の電力安定供給を見据えて、当初は特別高圧受電を想定していたものの、ライフサイクルコスト最適化の観点から高圧受電とコージェネレーションシステムを採用。
    • 排熱を冷房・暖房・給湯で活用。
  • 排熱投入型吸収冷温水機
    • 熱源設備はガス熱源と電気熱源を併用し、災害時の供給も行う。
    • 夏季は、コージェネの排熱利用で排熱投入型吸収冷温水機を運転。
  • 中圧引き込み
    • 耐震性の高い中圧ガスによって敷地内にガスを引き込み、専用ガバナを活用し敷地内で低圧に減圧。
設備容量 コージェネレーションシステム 35kW 5台
排熱投入型吸収冷温水機 738kW

コージェネ 災害時にも電力供給可能な停電時自立型を採用

排熱投入型吸収冷温水機

電力利用模式図

システムフロー図 各熱需要に対し複数のエネルギー源から供給可能なシステム

電力利用模式図

システムフロー図 各熱需要に対し複数のエネルギー源から供給可能なシステム

写真はイメージです。

病院ZEBの主な要素技術

小田原市立病院ではA)外気負荷削減、B)排熱利用、C)運用に則した設備容量設定を重要テーマと位置づけ、徹底的な実態調査と運用実態に合った設計を実施。空調設備容量の合理化の効果もあり、コストを増加させずに大規模病院では最高性能のZEBを実現。
※床面積20,000㎡を超える大型総合病院における全国最高値(2024年8月時点)

  • 外気負荷低減
    • 病室換気の夜間モード切替や共用部のCO₂センサー等による換気量制御などを行い、換気量の低減を図る。病院設備設計ガイドライン(HEAS)に則り、感染症対策を損なわずに実現。
  • 排熱利用
    • 医療機器は冷熱温熱の排熱が非常に多い。それらを水熱源ヒートポンプによって回収し排熱利用を行う。
  • 空調設備容量の合理化
    • 機器の同時使用率、バックアップの機器か否かなど徹底的な調査を行い、運用実態に合わせた設備容量で設計。

      床面積20,000㎡を超える大型総合病院においては、全国で最高値

  • 外装の取り組み
    • 「リボン」に包まれる優しい療養環境をイメージ。
    • 各階にメンテナンスバルコニーを設けることで良好な視界を確保しながら適切に日射を遮蔽。

ZEB化の経緯・担当者のコメント

ZEB化の経緯・きっかけ

小田原市立病院は、1958年に現在地に開設し、1984年に全面改築して以来、小田原市をはじめ2市8町からなる県西二次保健医療圏の基幹病院として、地域の医療を守る役割を担ってきた。改築後40年以上が経過し、電気設備や給排水設備など、設備面での老朽化が顕著になるとともに、病室の1床当たりの面積が医療法施行規則の基準を下回っていることなどから、早急な対応が求められていた。こうした状況を踏まえ、2026年春の新病院開院を目指して建設事業に着手。

小田原市は2019年に2050年までのCO₂排出量実質ゼロを掲げており、新病院建設事業の事業者選定プロポーザル時には「環境配慮とライフサイクルコストの縮減」をテーマの一つとした。

プロポーザルにおいて、優先交渉権者として選定された竹中工務店を代表企業者とするグループ(構成員:内藤建築事務所)の提案にZEB化があり、その後の設計段階において、更なるZEB化を目指すことになった。

スケジュール

2018年12月「小田原市立病院再整備基本構想」の策定
2020年12月「小田原市新病院建設基本計画」の策定
2023年 1月基本設計完成
2023年12月実施設計完成
2023年12月起工
2026年 2月竣工予定

ZEB化の成功要因

  • 小田原市立病院 病院再整備課 杉山和人課長

ポイントになったのは、事業手法を基本設計からの設計施工一括発注にしたことによって、事業者の持つアイデアと技術を十分に引き出せたこと、プロポーザル時の競争的対話等により、事業者の努力可能な領域を引き上げられたことであり、それによって、高度なZEB化を推進・実現することができた。

環境配慮とライフサイクルコスト縮減を軸とし、ZEB化を推進するためには、医療現場の運用に支障を来さず、一方で大胆な設備容量の縮減を図る必要があった。医療分野にも精通しているコンストラクションマネジメント(CM)会社の支援の効果も大きく、医療の質と省エネが両立できた要因だと考えている。

「ZEB化の推進」だけに止まらず、工期の短縮や工事費削減などプロジェクト中に生じる様々な課題について、設計者、工事監理者、施工者、CM会社、医療コンサルが一体となって尽力し続けたことがこの結果に結実したものと考えている。

写真左から、竹中工務店 白石さん、巽さん、
 小田原市立病院 杉山さん、倉橋さん、瀬戸さん

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