建物概要

所在地栃木県佐野市
新築/既存新築
建物構造地上1F RC造
延床面積852.70㎡
竣工年月2024年3月
ガス設備GHP潜熱回収型給湯器

ZEB化の概要

ZEB化の取組み

①『ZEB』を実現した美術館

  • 美術館の建替えに際し、地域との交流の場所となることを目指し、庭園や市民開放スペースを整備。
    建物は、高断熱層を設けた上で、空調にはGHPを採用。さらに、太陽光発電を導入することで、『ZEB』 (エネルギー削減率 105%)を達成。

②GHPの採用

  • 小形のGHPを8台設置し、1台が故障してもバックアップ可能なシステムを採用。また、太陽光発電と蓄電池により、停電時も美術品の保護のためGHPの運転が可能。
    展示室は、床吹き出し空調システムを採用し、美術品への風の影響を抑えつつ、良好な展示環境を実現。

主な導入設備

外皮断熱
外壁:
吹付硬質ウレタンフォームA種1
t=40
屋根:
吹付硬質ウレタンフォームA種1
t=70
空調GHP
換気全熱交換器
照明LED照明(在室検知制御、タスクアンビエント照明)
給湯潜熱回収型給湯器
再エネ太陽光発電
その他リチウムイオン蓄電池
BEMS

主要ガス設備

  • GHP
    GHP14kWを8台設置。美術品の保護を考慮し、バックアップが可能なシステムとした。また、停電時も蓄電池からの電力供給でGHPの運転が可能。
  • 床吹き出し空調システム
    床吹き出し空調システムにより、美術品への風の影響を抑えつつ、良好な展示環境を実現。
  • 潜熱回収型ガス給湯器
    従来は捨てていた排ガスからエネルギーを回収。排ガス温度を約200℃から約80℃に下げることによる熱回収と同時に、排ガス中に含まれている水蒸気を水に戻す潜熱回収により、熱効率93%(HHV)の高効率を実現。
設備容量 GHP 14.0kW×8台
潜熱回収型給湯器 16号×1台
※冷房能力14kW、暖房能力16kW

GHP

床吹き出し空調システム

潜熱回収型ガス給湯器

その他の導入設備


太陽光発電設備

発電容量 42.38kW
屋上に設置した太陽光発電により
『ZEB』達成に大きく貢献。


リチウムイオン蓄電池

設置容量 22.4kWh
太陽光発電の余剰電力を
蓄電池により効率的に利用。
また、停電時の電力供給が可能。


LED照明、トップライト

照明はLED(在室検知制御)を採用。
玄関ホールはトップライトを導入し、
開放感を演出。また、天井部には、
地域産の木材を使用している。

地域に開かれた美術館

建物はバリアフリー対応のため平屋造りとなっており、庭園部分は地域に開放された憩いの場となっている。また、屋上のテラスからは周囲の街並みや広場、美術館を一望することができる。
美術館には個展やイベントが開催できる貸スペースや、子どもたちが自由に絵を描ける壁一面のホワイトボードが設置されているなど、地域との交流の場を目指した施設となっている。


地域に開放された庭園


子供たちが自由に絵を描くことができるフリースペース

病院ZEBの主な要素技術

ZEB化の経緯・担当者のコメント

ZEB化の経緯・きっかけ

  • 東京石灰工業株式会社

東石美術館には、東京石灰工業のオーナーの収集品である日本の近現代以降の絵画や工芸品2千点以上が所蔵されている。横山大観「瀑布」や北大路魯山人「銀彩色絵竹に雀花入」などが特に有名で、1980年の開館以来、佐野市内の観光スポットの一つとして親しまれてきた。

開館から40年以上が経ったことで近年は建物の老朽化が目立っていた。バリアフリーへの未対応などの課題もあったことから、全面的なリニューアルを決めた。その際、空き家になっていた隣接の土地を取得し、敷地面積は約10倍に拡充。新たなスペースには庭園などを整備することで、市民の憩いの場となることを目指した。

東京石灰工業は採石場などで使用する電気の再生可能エネルギー化など環境対策に積極的に取り組んでおり、東石スカイテラスも太陽光発電の導入を含め、環境に配慮した施設とすることを目指した。

スケジュール

2021年 2月検討開始
2022年 1月設計開始
2023年 5月着工
2024年 3月竣工
2025年 5月グランドオープン

ZEB化の成功要因

  • 株式会社ライブ環境建築設計 代表取締役 片山 康浩

地域活性化に寄与する施設にしたいというオーナーの思いを受け、その方向性に沿った設計案を検討した。美術館には、代替がきかない貴重な美術品が所蔵されているため、温度や湿度が厳密に管理されることが必要であった。また、クリーンな電気で美術館を運営したいとの意向を受け、太陽光発電の導入を含めた『ZEB』の実現可能性を検討した。

美術館という建物の特性上、一次エネルギー消費量の76%を空調が占めるため、『ZEB』実現に向けた最大の課題は、空調設備の省エネルギー化であった。エネルギー消費量の削減だけを単純に考えるならEHPの採用も選択肢にあったが、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からは火力発電の電気が大半を占める系統電力よりも、都市ガスを活用したGHPの方が望ましいと考えた。

建物は高断熱層を設けた上で、GHPと太陽光発電を採用することで『ZEB』(エネルギー削減率105%)となった。地域の木材を積極的に活用し、屋上の芝生テラス、井戸水を利用した水盤、子どもたちが自由に絵を描くことができる白壁の設置など、地域に開かれた開放感のある施設になっている。2025年5月のグランドオープンにより全設備の運用が始まった。今後は、設計通りの省エネ性が実現できているかの検証を行っていきたい。

写真左から、ライブ環境建築設計 松村さま、片山さま、佐野ガス 亀山さま、東京石灰工業 長さま 

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