撮影:株式会社川澄・小林研二写真事務所 中村隆

建物概要

所在地愛知県名古屋市
新築/既存新築
建物構造鉄骨造
延床面積23,613.16m²
竣工年月2024年9月
ガス設備
コージェネ排熱投入型吸収冷温水機ガス焚吸収冷温水機潜熱回収型給湯器

ZEB化の概要

ZEB化の取組み

① 停電対応型コージェネを導入し、信頼性と環境性を両立

  • コージェネを夏・冬を中心に稼働させ、排熱は排熱投入型吸収冷温水機(ジェネリンク)で空調用に活用してBEIを低減。また、停電対応型コージェネを採用することで、非常時にはコージェネからの電力により空冷HPチラーが利用可能となっており、地域の防災拠点としても機能している。

② 断熱性の向上と自然エネルギーの活用

  • 南側の窓を小さくするなどして入熱量を抑え、空調エネルギー消費を低減。
    吹抜け部では、重力換気を活用して機械換気の稼働を抑制し、エネルギー消費を低減。

③ AIやIoT技術を駆使した「スマートビルシステム」を導入

  • 施設内のデータを集約しビル制御に活用することでビル管理や運営を最適化。統合ネットワークによる最高水準のセキュリティを実現。施設各機能(エレベータ、ドアロック、監視カメラ、空調、照明)がネットワークにつながり、柔軟な制御様態の変更やアレンジが可能。

主な導入設備

外皮断熱
外壁:
押出成形セメント板 t=60
屋根:
コンクリートスラブ t=160
 窓:
Low-E複層ガラス(日射遮蔽型)、ブラインド
空調コージェネ、排熱投入型吸収冷温水機、ガス焚吸収冷温水機、空冷HPチラー
換気外調機、全熱交換器、重力換気による自然通風
照明照明制御
給湯潜熱回収型給湯器、電気温水器
再エネ太陽光発電設備、風力・太陽光ハイブリッド街路灯
その他スマートビルシステム
非常用発電機(1,000kVAディーゼル)
地下タンク 15,000L

主要ガス設備

  • コージェネ
    • コージェネは、夏期、冬期にピークカット稼働
    • 停電対応型を採用し、停電時は主に空調系統の電源となる
  • 排熱投入型吸収冷温水機
    • コージェネの排熱は排熱投入型吸収冷温水機を活用し、冷房・暖房で使用
  • ガス焚吸収冷温水機
    • 災害時の冗長性やピークカットによるランニングコスト低減への配慮から総熱源容量の30%をガス熱源とすることにより、建物として要求される信頼性と環境性を両立
  • 中圧引き込み
    • 耐震性の高い中圧ガスによって敷地内にガスを引き込み、専用ガバナを活用し敷地内で低圧に減圧
設備容量

コージェネレーションシステム35kW × 4台

排熱投入型吸収冷温水機150RT × 1台

ガス焚吸収冷温水機150RT × 1台

潜熱回収型給湯器計2,088kW

コージェネ
災害時にも電力供給可能な停電時自立型を採用

排熱投入型吸収冷温水機

潜熱回収型給湯器

中圧ガス 専用ガバナ

その他の導入設備


空冷HPチラー


非常用発電機1,000kVAディーゼル(軽油)


太陽光発電設備


風力・太陽光ハイブリッド街路灯

非常時にはスマートフォンの充電が可能


重力換気による自然通風

ZEB設計の概要(システム図)

自然光や自然通風などの自然エネルギーと省エネ設備、防災設備を組み合わせたシステム設計で施設の環境性と信頼性を高めている

エネルギー供給のフロー図

非常時は耐震性に優れた中圧ガスなど複数熱源を活用したエネルギー供給により、施設の強靭性を高めている

計画の経緯・担当者のコメント

ZEB化の経緯・きっかけ

愛知県が2018年に「Aichi-Startup戦略」を策定し、その戦略実現に必要な施設として「STATION Ai」の構想が始まった。2021年に整備・運営を担う公募があり、ソフトバンク株式会社が採択を受けた。

当初、「ZEB Oriented」(※1)で設計したが、有識者らで構成する第三者機関から「注目度の高い施設として環境面でも優れたものにすべき」といった意見が寄せられ、施工段階で工夫して「ZEB Ready」(※2)とした。

株式会社石本建築事務所 エンジニアリング部門 環境グループの松田次長は「あらためて一つ一つの設備の一次エネルギー消費量を細かく確認したが、BEI(建築物の省エネルギー性能指標)を下げるシステムが必ずしもランニングコストを下げるものではない。ZEB Readyの実現を優先してコストが高くなってもいけない。建物の性能を維持するという点でガス設備が必要だった」と振り返る。

※1...基準値に対する一次エネルギー消費削減率30〜40%
※2...基準値に対する一次エネルギー消費削減率50%以上

スケジュール

2018年10月愛知県が「Aichi-Startup戦略」を策定
2019年12月整備等事業に関する「基本的考え方」の公表
2020年 8月整備・運営をPFI方式により進める「実施方針」の公表
2021年 7月整備・運営を担う事業者決定
代表事業者:ソフトバンク株式会社
2022年12月起工
2024年 9月竣工

施設責任者の声

  • STATION Ai株式会社 ビル管理統括責任者 大澤様

南側の窓を小さくするなどして入熱量を抑えることで、空調のエネルギー消費量を低減できている。2025年7月に全館停電を伴う法定年次点検を行ったが、停電状態でも施設内で汗をかかずに半日過ごすことができたことからも、省エネと快適性を両立できていると感じる。

2025年10月に開業から1年を迎えたが、深夜まで研究開発に取り組む企業も多いにもかかわらず、設計基準値に対する通年の一次エネルギー消費量削減率は、計画値の52%を上回る59.5%になる見通しであり、実運用で成果が確実に出ている。

写真左から、STATION Ai株式会社 大澤様、株式会社石本建築事務所 西河様、松田様 

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