所在地 | 大阪府門真市 |
新築/既存 | 新築 |
建物構造 | 地上4階 S造 |
延床面積 | 約196,800㎡ ( 内、商業棟 約102,800㎡ ) |
竣工年月 | 2023年2月 ( 2023年4月グランドオープン ) |
ガス設備 | GHP、排熱投入型吸収冷温水機、 吸収冷温水機、ガス給湯器、 コージェネ ( 非発兼用 ) |
ZEB化の取組み
①外気導入量削減
- 従来の基準仕様から合理化して、外気導入量を約2/3まで削減。空調容量削減にも寄与
- CO₂濃度に加え、館内人数確認システムを外気導入量制御に活用
②テナントの空調容量削減
- テナント空調負荷原単位を現状(=LED照明採用)に沿って見直すことで空調容量を約7%(物販店舗室内負荷基準)削減
③高効率空調機採用
- 店舗・客用通路向けに高効率GHP200台を採用。その内、フードコート向けには停電対応型GHPを設置し、災害発生による来館者受入時にも空調運転継続可能
主な導入設備
外皮断熱 |
外壁:ALC t100㎜ 防水形外装薄塗材E 屋根:鋼製折板 グラスウール10kg/㎡ t50mm+50mm 押出法ポリスチレンフォームt30mm +保護コンクリートt80㎜ +屋上コンクリートスラブt150㎜ |
空調 | 排熱投入型吸収冷温水機、吸収冷温水機、 空冷HPチラー、GHP ( 一部、停電対応型 )、EHP |
換気 | 外調機 ( 店舗・客用通路向け )、 全熱交換器( バックヤード向け ) ( CO₂濃度、人数情報による外気量制御 ) |
照明 | LED照明 ( 無線調光制御、人感センサ制御 ) |
給湯 | ガス給湯器、電気温水器 |
再エネ | 太陽光発電 |
効率化設備 | コージェネ ( 非発兼用 ) |
その他 | 太陽光発電蓄電型街灯、BEMS、COOL分電盤 |
主要ガス設備
- 最新型の高効率GHP
冗長性、省エネ性、ライフサイクルコストを検討した上で、店舗・客用通路向けに高効率GHP200台を採用。その内、フードコート向けは停電対応型GHPを設置し、災害等発生時にも来館者や周辺住民の一次避難場所として空調継続が可能※1。※1: 令和3年度 災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金に採択
- コージェネと吸収冷温水機の組合せ
外調機の熱源として熱電併給のコージェネと吸収冷温水機を導入。
コージェネ排熱を暖房時は直接利用、冷房時は排熱投入型吸収冷温水機に投入し冷水製造。 - 耐震性を高める中圧ガス認定導管
都市ガスは第三者機関の耐震認定を受けた中圧ガス導管より引込み。非常用発電機兼用コージェネの採用により、油焚非常用発電機の設置不要。
万が一の停電時でも、耐震性の高い中圧ガス供給が継続される限り、コージェネを稼働し、継続的・安定的な電力供給が可能。
設 備 容 量 |
GHP 12,764.5kW |
( 標準型 ) 22.4kW×5台、 28kW×4台、35.5kW×1台、 45kW×25台、56kW×55台、 71kW×46台、85kW×50台、 ( 停電対応型 ) 56kW×14台 |
吸収冷温水機 7,665kW |
1,969kW×3台 ( 排熱投入型 ) 1,758kW |
|
コージェネ 800kW |
400kW×2台 |
高効率GHP
排熱投入型吸収冷温水機
非常用発電機兼用コージェネ
中圧ガス緊急遮断弁
その他の導入設備
太陽光発電設備
発電容量約1.7MWで全て自家消費。折半屋根への平置きで設置コスト削減。
街灯設備
北西エントランス広場に太陽光発電蓄電型街灯を設置。非常時は機側盤からコンセント給電可能。
COOL分電盤(写真左)
放射冷却素材「SPACECOOL®」※2を利用した遮熱対策分電盤を国内初採用。ゼロエネルギーで日射入熱等による内部温度上昇を抑制し、分電盤の信頼性と長寿命化に寄与。
※2: 大阪ガス株式会社が開発し、大阪ガスが出資するSPACECOOL株式会社が、製造・販売する
電気空調設備
外調機用熱源として空冷HPチラーを採用し、電気とガスのベストミックス中央熱源を実現(電気:ガス=16%:84%)。
エネルギーシステムフロー図
災害時における支援協力に関する協定
三井不動産と門真市は、「災害時における支援協力に関する協定」を締結(2023/1/17)し、ららぽーと門真・三井アウトレットパーク 大阪門真内の利用可能なスペースを一時避難場所として活用。
出典:門真市ホームページ
https://www.city.kadoma.osaka.jp/soshiki/somu/4/2/2/4/3/21573.html
災害時における支援協力に関する協定
停電時は、中圧ガス認定導管からのガス供給により、非発兼用コージェネを優先的に稼働。また、フードコート向けの停電対応型GHPも稼働を継続。これにより防災設備に加え、一部の照明、コンセントへの給電と空調稼働が可能となる。
ZEB化の経緯・きっかけ
- 三井不動産 坪浦 諒子 主任
三井不動産グループとして脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画を策定しており、GHG排出量を2030年度までに40%削減(19年度比)、2050年度までにネットゼロとする方針を掲げている。
アセットや新築・既存を問わず取り組みを進めており、ららぽーと門真・三井アウトレットパーク 大阪門真のZEB化は必須となった。
大規模商業施設のZEB Oriented(物販等)取得は、国内初のららぽーと堺に続き当社二件目で、堺での知見やノウハウを積極的に展開した。
スケジュール
2021年10月 | 着工 |
2023年 2月 | 竣工 |
2023年 4月 | グランドオープン |
ZEB化の成功要因
- 竹中工務店 安江 楽人 主任
大規模商業施設では空調エネルギーの占める割合が大きく、そこを如何に削減するかがポイントになった。従来の設計仕様から大幅な見直しが不可避となったが、綿密な議論を重ねることで、三井不動産様の理解を得てZEB化を実現することが出来た。
また、一般来場者が多い施設の特性上、BCP対応も最重要課題となった。門真市のハザードマップ上の浸水エリアに位置していたため、敷地全体を盛土により嵩上げし、屋外設置の非常用発電機兼用コージェネが浸水しない設計として、信頼性の高い電力供給を実現した。
今後の展開
- 三井不動産 上田 泰史 参事
三井不動産ファシリティーズ・ウエスト
上村 知裕 所長
月1回程度、三井不動産主体の運用会議にてコミッショニングに向けた議論を実施。事業者、設計者、運用者、エネルギー事業者も参加し、2年目以降の運用改善に向けた知恵出しを行っている。
不動産における環境負荷は大きいため、環境性能を向上させることは当社グループの使命と考えている。個々の施設単独で完結するのではなく、得られた知見やノウハウを共有・水平展開しながら脱炭素実現に向けて取り組んでいきたい。
ZEB化による効果(設計値)
ZEB Oriented認証(物販等)※3、DBJ Green Building認証(5つ星)などの環境認証を取得。また、ららぽーと堺と門真での取組みを合わせてコージェネ大賞2023優秀賞を受賞※4。
※3: 設計時一次エネルギー消費性能BEI=0.67
※4: 三井不動産、大成建設、竹中工務店、Daigasエナジー4社連名での受賞
▲写真左から、三井不動産ファシリティーズ・ウエスト上村所長、三井不動産上田参事、坪浦主任、竹中工務店安江主任